「ノンちゃん雲に乗る」 石井桃子さん死去 101歳
ロングセラーの「ノンちゃん雲に乗る」や「クマのプーさん」などの名訳で親しまれた児童文学作家で翻訳家の石井桃子(いしい・ももこ)さんが2日、死去した。101歳。さいたま市出身。自宅は東京都杉並区荻窪3の37の11。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008040302000550.html
1928年に日本女子大英文科卒業後、34年から2年間、山本有三編集の日本少国民文庫の編集に携わった。次いで英米の児童文学の翻訳を手掛け、ミルンの「クマのプーさん」やポターのピーターラビット・シリーズなど数多くの名訳により、54年に菊池寛賞を受賞した。
創作でも第1回芸術選奨文部大臣賞受賞作「ノンちゃん雲に乗る」(47年)や、8年の歳月をかけた読売文学賞受賞作「幻の朱い実」(94年)などを残した。子供たちの読書指導にも情熱を注ぎ、自宅を開放して「かつら文庫」を開設、その活動記録は「子どもの図書館」(65年)としてまとめられた。
◆読み告がれる名作続々
石井桃子さんの代表作「ノンちゃん雲に乗る」は、今も読み継がれる日本の児童文学の名作だ。「まだまだ自分はえらくない、という<ひれふす心>さえ忘れなければ、まず間違いはないんだよ」と、ノンちゃんにさとす雲のおじいさんの言葉は、石井さんの人となりがそのまま反映されている。同書は実は太平洋戦争突入前に書かれた。
「本になる、ならないということとは別に、友人たちに原稿を回し読みしてもらっていたんです。兵隊さんにも喜ばれました」と、石井さんが打ち明けてくれたことがある。米寿を迎えてもイギリスの作家A・アトリーの幼年童話「グレイ・ラビットのおはなし」の翻訳に取り組むなど、終生児童文学の世界を愛した。
「私が子供の本にひかれるのは、どこの国の人にも通じる普遍性があること。時代の風潮に影響されない根本のところで書かれているからでしょう」という石井さんの言葉は、次世代への指針のように響く気がする。
太宰治のあこがれの人でもあった。