ピーターラビット“世界に放ち”1世紀 著作権ビジネスの祖 ポターの半生映画化
ピーターラビットの原作者、ビアトリクス・ポター(英国)の半生を描いた映画「ミス・ポター」が15日、公開される。作家で、世界初のライセンシング(著作物の使用許諾)システムを作ったビジネスウーマンでもあるポターを映像化したのはオーストラリア出身のクリス・ヌーナン監督(54)。誕生から100年以上たつピーターラビットが現在も世界で愛されている理由が本作でひもとかれる。(堀口葉子)
http://www.business-i.jp/news/enter-page/enter/200709140008o.nwc
≪累計1億部発行≫
青い上着をはおったうさぎ、ピーターラビット。1902年に初出版された絵本「ピーターラビットのおはなし」は、ピーターラビットと仲間の動物たちの物語として、23巻のシリーズとなり、現在までに世界111カ国・地域で累計1億部発行された。
ピーターラビットは出版にとどまらず食器、雑貨、寝具など、さまざまな分野でキャラクター商品化され、販売されている。
ビアトリクス・ポタ-(C)Courtesy of The Victoria and Albert Museum
「いまでこそ、著作権ビジネスというが、先駆けを作ったのはポター。上流階級の女性が仕事を持つことはあり得なかった当時、ポターは進歩的に生きた。その姿を、現代の女性にも伝えたかった」
ヌーナン監督は、映画化の理由をこう話す。
≪世代超えて支持≫
ポターは1903年、ピーターラビットのぬいぐるみのデザイン特許を独シュタイフ社に申請、ライセンサー(権利許諾者)となり世界初のライセンシングを展開していく。どの商品も生産前には権利管理会社の認可を必要とし、商品が原型に忠実か否か、生産過程で確認していた。
「ミス・ポタ-」のワンシーン。左がビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガ-)
その綿密さは、ヌーナン監督が映画化の準備で権利元、英フレデリック・ウォーン社を訪ねたとき、目の当たりにする。
「キャラクターを商品化する上で色や形、品質などポターが細かく指示している手紙が残されていた。創作の意図がわん曲されないようにね。そのビジネス感覚に驚いた」
アーティストの作品は、描くだけでは世界中に広がらない。素晴らしい作品とビジネス力。「この2つが、ピーターラビットを世界に広めた」とヌーナン監督は話す。
現在、世界の子供から大人まで世代を超えて支持されるピーターラビット。色あせないブランド力の陰には、ポターの信念が息づいている。
映画は、全国300スクリーンで公開される。
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■国内市場は500億円
ピーターラビットと家族(C)F・W07
英フレデリック・ウォーン社の「ピーターラビットのおはなし」は、日本で福音館書店(東京都文京区)が合計1200万部を発行している。
ピターラビットは企業の間でも人気がある。三菱UFJ信託銀行は1988年からイメージキャラクターに、サントリーは今年4月から清涼飲料水「DAKARA」のCMに、物語に出てくる動物を登場させている。
このほかJTBは海外旅行ツアー「ピーターラビットの世界を訪ねる旅」シリーズを展開。原作者の故郷、湖水地方を巡る旅を東京発「英国紀行10日間」(2人1室利用、28万9000円から)として10月31日まで販売している。日本におけるピーターラビットの権利管理会社、コピーライツアジア(東京都渋谷区)によると、国内のライセンシー企業は2005年に85社だったのが06年には100社を超え、現在は130社という。日本での関連市場規模は500億円程度といわれている。
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【プロフィル】クリス・ヌーナン
Chris Noonan オーストラリアン・フィルム・テレビジョン・アンド・ラジオ・スクールで学んだあと、助監督を経て、1995年「ベイブ」(アカデミー賞7部門ノミネート)で劇場映画監督デビュー。「ミス・ポター」は2本目。54歳。