「ピーターラビット」誕生に秘められた感動の物語『ミス・ポター』クリス・ヌーナン監督インタビュー
青い上着をはおった愛らしいうさぎ、ピーターラビットを生み出した女性。ビアトリクス・ポター。上流階級に生まれ、女性が職を持つことなどあり得ない時代に、彼女は心から夢中になれる好きなことを見つけ、それをライフワークにすることによって自分自身はもちろん、世界中の人々までも幸せにした。
http://www.cinematopics.com/cinema/topics/topics.php?number=1036
現代女性の先駆けともいえるビアトリクス・ポターを演じるのは『プリジット・ジョーンズの日記』で人気を博し、『コールド マウンテン』でアカデミー賞に輝いたレニー・ゼルウィガー。彼女の初恋の相手であるノーマン・ウォーンを『スターウォーズ』三部作のイアン・マクレガー。彼の姉ミリーを『奇跡の海』のエミリー・ワトソンが演じている。
ポターが購入して農場を営み、遺言でナショナル・トラストに寄付されたイングランドの湖水地方とヒルトップ・ファームでのロケが実現。現存している美しい自然が残されているこの地は、今もピーターラビットの物語の舞台として知られ、世界中から観光客が訪れる人気スポットである。
『ベイブ』でアカデミー賞7部門にノミネートされ、本作で作者とピーターラビットと仲間たちが共演する名シーンを生み出したクリス・ヌーナン監督にお話を伺った。
記事構成:Miwako NIBE
クリス・ヌーナン
1952年、オーストラリアのシドニー生まれ。16歳で短編『COULD IT HAPPEN HERE?』を撮り、シドニー映画祭受賞。オーストラリアン・フィルム・テレビジョン・アンド・ラジオ・スクールの監督コースで学んだ後、フィルム・オーケストラで短編映画やドキュメンタリーの制作に携わる。95年、『ベイブ』で劇場映画監督デビューを果たし、アカデミー賞7部門にノミネート、全米批評家協会賞作品賞、NY批評家協会賞初監督作品賞を受賞。『ミス・ポター』は11年ぶりの新作。最新作は、『THE THIRD WITCH』(07)。
――『ベイブ』から11年を経て、この作品を監督作として選んだ理由は?
『ベイブ』という自分の一本目の作品がとても成功し、次の作品の企画選びが難しいものになってしまいました。何百冊もの脚本を送って頂いたんですが、それがまた、どれもこれもつまらなくて(笑)。そうこうしているうちに『ミス・ポター』と出会うことができたんです。この作品の前にも脚本を読んで泣いたことはあったんですけれども、その時、操作されているなと感じるところ、つまり狙っているところで不覚にも泣いてしまうことが多かったんですね。ところが、この作品の場合は気が付いたら泣いていた。真の涙を流す自分がいたんです。それは多分、『ミス・ポター』という作品がリアルだったからだと思うんですね。本当に自分が心の反応をしたので、これは何かあるなと思って、それまで全然興味を持っていなかったビアトリクス・ポターという女性のことを調べ始めたらすごい女性だったということが分かり、すっかり魅了されてしまったんです。まるで現代に生きる女性がポッと1895年の世界にタイムスリップしてしまって、「何で束縛されるんだ、私はやりたいことをやりたいのに!」と言っているように見えたし、自分にとって映画はエモーショナルなメディアなんです。自分の心を動かしたストーリーと自分のスキルを使えば良いものができると確信し、ギャンブルに出たわけです。
――ビアトリクス・ポターの最大の魅力はどのように感じていますか?
彼女は素晴らしい画家であり、作家であり、そしてビジネスウーマンとしても本当に幅の広い活動をして活躍をしてみせた。とても素敵なユーモアを持ち、キャラクターとして彼女の全てに惹かれるんですね。また、色んな意味で賢かった。自然史に造詣が深く、キノコ研究では、今まで発表されたことがないある種のキノコの再生に関するレポートを書いたんですね。英国の学会にも提出したんだけれど、当時は女性だからという理由で受け入れられなかった。その学会は40年後に女性だから認めなかったことが間違いだったことを認めました。全てにおいてすごい女性だと思います。
――実際に演出してみて、ビアトリクス・ポターを演じたレニー・ゼルウィガーの魅力に気付いたところは?
本当に完璧主義の俳優さんで、やると決めたら100%努力するところですね。ハリウッドの多くの彼女くらいのネームバリューがあるスターであれば、いかにスチール写真が素敵に撮られるか、あるいは映画の中でも格好よく、きれいに撮ってほしいとか、そのことばっかりに気を使ってしまうスターありきの方はたくさんいるんだけれど、彼女はどんな風に写ろうがお構い無しなんです。何よりも素晴らしい演技をしたい。つまり、自分の演じているキャラクターが求めているものを可能な限り正確に形にしたいと望んでいます。
そして、自分の中で求めているものが高すぎて悩んだりもするんですね。実際撮影している時も良い演技をできたかどうか、自分ではっきり分かるので、監督がOKテイクの場合でも、「今は良くなかったもからう一回やらせてください」と言うタイプなんです。見返してみると、確かに彼女の言っていた通り、後でやった方が良かったりするんですね、つまり、そこに真実がなかったから。
公開情報
□2007年9月15日(土)日劇3 ほか全国ロードショー!!
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